パナホームも新築検討時に比較検討した住宅メーカーの内に一社です。
パナホームは素敵なプランを作って頂いた思い出があり、心残りもある忘れられない住宅メーカーです。
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パナホームはパナソニックの関連企業です。パナソニック=松下電器ですので、松下幸之助氏が住宅事業に進出したのに端を発する歴史ある住宅メーカーです。
構造は鉄骨です。
パナホームの他に、鉄骨を扱う住宅メーカーは、
積水ハウス
ダイワハウス
ヘーベルハウス
セキスイハイム
トヨタホーム
ミサワホーム
などが有名所ですが、
パナホームはその中でも鉄骨だけで3種類の構造を持つ珍しい会社です。
・重量鉄骨、ラーメン工法
・軽量鉄骨、制震軸組工法
・軽量鉄骨、大型パネル工法
私が接触した際は、大型パネル工法、を推奨していました。
■パナホームの大型パネル工法について思ったこと
(写真:外壁側から見たパネルの断面モデル)
(写真:居室側から見たパネルの断面モデル)
パナホームの大型パネル工法というのは、
・鉄で四角い枠を作る
・パーティクルボードの1枚板を鉄枠の全面にビス止めする
・鉄枠を基礎の上に組み上げ、家を作る
という工法です。
安価で頑丈な耐力壁を家全体に潤沢に使えるメリットがあり、
建物の変形を抑えるのに非常に有効に働くようです。
比較対象として、積水ハウスやダイワハウスの構造は、
・鉄で四角い枠を作る
・十文字の補強(ブレース)を入れる
という「ブレース構造」を使っているのですが、
パナホームの大型パネル工法は、ブレース構造より壁が変形しにくいという事でした。
(図:パワテックパネルが変形しにくい理由)
ツーバイフォーの鉄骨バージョンだと理解できます。
パナホームの担当営業マンから見せて頂いた手持ち資料では、パナホームが「
最大応答変位(※)」という数値で、
パナホーム(大型パネル工法)
<積水ハウス(制震シーカスを装備)
<ダイワハウス(ノーマル)
<積水ハウス(ノーマル)
の順(小程良好)を示しており、明らかな優位性を感じました。
(※戸建住宅の場合、地震波を実験棟の建物に与え時に、下図の位置で測定される値の事を言います。阪神淡路大震災の波形を与える事が多いようです。)
(図:最大応答変位とは)
この「
最大応答変位」は建物の耐震性を示すのに非常にわかり易い指標なのですが、、、、
ところが、「
最大応答変位」について住宅メーカー各社について検索しても、まとまったデータは見つけにくい状態にあります。
いくつか理由が考えられます。
・実験用の建屋であり、各社全く同じ寸法で比較している訳でない。
・地震波の特徴は毎回異なり、阪神淡路大震災の波形だけが絶対的な評価基準には成り得ない
・建屋の荷重となる屋根の材質、外壁の材質はオプション仕様の物が多くあり、
それらの選択で建屋の重量が結構変わる。
・実験棟に搬入する家具などの総重量、配置も各社実験で異なる為、
単一の数値で横比較するには無理がある
・実際に建築される建屋は複雑な凸凹があったり、
また窓の配置によっても耐力壁のバランスが変わるので、
総二階の実験棟の揺れ方が実際の建屋を代表するとは言えない。
おそらく、上記のような理由があって、
さらにおそらく、「不毛な争いになるので、この値をPRに使うのはやめよう」
と業界団体内で申し合わせがあったのでないかと予想しています。
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蛇足ですが、大成建設ハウジング、の「パルコン」という鉄筋コンクリート住宅と比較すると、
大成建設パルコン << パナホーム(大型パネル工法)
という具合で、鉄筋コンクリート最強、だったのでした。制震なんて要らない(笑)
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そんな具合で、構造的にはかなり頑丈な
パナホームですが、
住まいの提案に関する力も、素晴らしいものがありました。
プランを考えて頂くのに先立ち、私達が考えた間取り例を渡し、アンケートにも解答したのですが、
まずアンケートの解答から顧客の要望をうまく抽出する仕掛けを持っていて、
さらに、新生活の提案、というスタンスまで噛み砕いた建築プランを仕上げてくださったのです。
正直言ってシビレました。ビビっと来てしまいました。
「
パナホームで決めよう!」と喉まで出かかっていました。それくらい素晴らしいプランでした。
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しかし、そこで思いとどまり、もう少し考える事にした理由は2つありました。
・
インターネット上に悪評を見つけ易かった
大手でも、積水ハウス、セキスイハイム、ダイワハウス、ミサワホーム、住友林業などは、
あまり悪評が目立ちませんでした。
おそらく上記の会社は
削除依頼を実行していると思いますが、
パナホームは削除依頼をあまりやってないのだろうと思いました。
→結構大きい会社の筈だのに、なぜ出来ないのか
心配になった。
(危機管理能力的な意味で)
・
悪評の中には、寒い、雨漏りがする、という内容が目立った。
これはパナホームの仕様を調べる内に判った
2つの仕様が原因でないかと思いました。
(図:心配になる2つの仕様)
この例は、1階部にせり出しがあり、屋根が2階部の外壁に連結され、吹き抜けと土間があるようなプランです。
土間断熱がされていないと、居室が底冷えするでしょう。寒い評の原因は恐らくこれじゃないかと思いました。
雨漏り評の理由は恐らくシリコーンシーラントが原因じゃないかと思いました。
屋根と壁が出会う部分にシリコーンシーラントを適用すれば、最初の作り込みは簡単ですが、
定期的にシーラーの打ち替えをしないと、漏れやすいのでしょう。
目地の打ち変えは、古い目地を完全に掃除しないと、きちんと接着しないので、
最初の作り込みの時より、打ち変えの方が神経を使う作業になります。
屋根の防水をシリコーンシーラントに一部でも任せるのは大きな弱点だと思います。
理想的には下図のようにするべきです。
屋根を壁の裏に入れ込む構造は、私が目で見て確認したのは積水ハウスとダイワハウスです。
発泡スチロールを土間に埋め込むのは、積水ハウスの標準仕様ですが、
他社がどうなっているかは判りません。(技術カタログに載っているのは見たことがありません。)
従って私は、総二階で土間なしであれば
パナホームはあり得る、と考えたのでした。
吹き抜けや、土間が繋がったリビング、など一見素敵なプランはそこで住む生活に期待感を持たせますが、そういう
素敵なプランにしたことが原因で家の耐久性に不安が生じるのでは問題です。
「夢のマイホーム」の筈が「
儚い夢のマイホーム」になるのは避けたいものです。
特に雨漏りの場合、最悪の想定ですが、家の強度が失われる可能性があるのではないかと思いました。何故なら、
パーティクルボードの大型壁パネル=強いが水濡れに弱い
からです。前述の通り、
パナホームの大型パネル工法は、鉄の枠にパーティクルボードをビス止めする事で、家の構造体に強度をもたせているのですが、
パーティクルボードは
・
水に濡れると著しい強度低下を起こす
・
濡れた後に再乾燥しても強度の再生が無い
(一旦木の繊維が膨潤すると絡み合いが解けるからです。)
という材料なのです。
万が一、雨漏り水濡れが起こったら、外壁を剥いでそこだけパーティクルボードを打ち替えれば良いのかもしれませんが、それを
難しくするのがタイル張り外壁の存在です。
■パナホームのキラテックタイルは綺麗!!だけど・・・
パナホームも
一条工務店と同じTOTOのタイルを使用していますが、
パナホームの場合は独自の商標である「キラテックタイル」という名前で売り出しています。デザインが違うだけでモノは同じです。
キラテックタイルは、弾性接着剤という超強力な接着剤で外壁全面に、隙間なく千鳥格子状に貼り付け、
外壁の目地部を隠ぺいし紫外線から守る役目があります。接着力はタイルの下地板の強度を上回っており、タイルを剥がす=下地を壊す、に直結します。
もしパーティクルボードの構造壁を交換しようと思ったら、キラテックタイルを一部剥がして、下地板のさらに裏にあるパーティクルボードを交換するのでしょうか。
(図:タイル外壁を一部解体する場合のダメージ予想範囲)
おそらくキラテックタイルを剥がす時、隣のパネルの一部を破壊する事になる気がします。
隙間なく千鳥格子状に貼りあわせたキラテックタイルは、外壁の目地を隠ぺいして守るという役目がある反面、一部解体修理という事態に対応出来ないんじゃないかと思います。
もう一つの選択肢として、室内から内装を一部剥いで、パーティクルボードにアクセスする可能性もありますが、家の外側からでも、内側からでも、どちら側から修理するにしても、かなり大変な事だろうと思います。
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上記のような考えがあり、我が家ではパナホームの選択順位を大幅に下げました。
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■パナホームの空気環境について思ったこと
また、
パナホームを選ばれる人の中には、第2種換気システムにHEPAフィルターを使うことで、PM2.5、PM0.5という体に悪い微粒子を室内に入れない、いわゆる空気環境に魅力を感じる人もいると思います。
私も正直な所、最初に聞いた瞬間は魅力を感じました。
何故なら我が家の建つ街はPM2.5が結構飛んでいるし、家族の中には花粉症の症状持ちも居るからです。
ですが以下の理由で充分な効果は得られないだろう考えました。
・
窓は開けたい(どう考えても人は窓を開ける)
それから、
・帰宅した人間の被服、外干しした洗濯物など、大気中の微粒子を大量に持ち帰る。
・フィルターの外枠はスポンジ。フィルターBOXへの取り付けが簡易な嵌め込み式なので、
外枠部分の気密は充分でなくリーク(漏れ)がある。
・工場のクリーンルームには入り口のエアシャワー室が必須
・工場のクリーンルームが一旦クリーンでなくなると、回復するのに数日から数週間を要する。
部屋をクリーンにするのはそれくらい難しい技術。
・換気すると冬場は当然寒いので、暖房のパワーが必要
(写真:
パナホームの床下に仕掛けられたフィルターBOX、フィルターの外枠は黒いスポンジ)
一瞬ステキと思った仕様でしたが、色々考えみると「
儚い夢」だったと思います。
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■最終的に積水ハウスを選んだけれども・・・
パナホームで作って頂いた当時のプランを見返すと、今でも本当に心残りがあります。
本当に素敵なプランだったからです。
積水ハウスを選んだ事も、積水ハウスが作ってくれたプランも大変満足していますが、
「正直パナホームのプランの家は住んでみたかったな・・・」
と思っています。
家は3回建てないと満足いかないと言いますが、3軒建てて良いとしたら、1軒はパナホームにしたいと思うので、パナホームの力、つまりソフト(プランニング)で消費者マインドをがっちりキャッチする力は、
流石Panasonic!!
だったと思います。
ソフトの次は、是非ハードも充実させて欲しいと思います。