その思い出と、各社の仕様について思う所を少しずつ綴ってみたいと思います。
私が最初に入った住宅展示場は、一条工務店だったので、最初の回は一条工務店を取り上げたいと思います。
一条工務店の話題を書く前に、「夢発電システム」の存在に触れておく必要があると思います。
なぜなら、私が建築計画をした当時、一条工務店は毎年2桁成長を遂げ、業界1位の積水ハウスに迫る年間販売棟数1万戸超えの快進撃を遂げた時期だったからです。
詳しくは、一条工務店の「新卒採用のページ」に掲載されていますが、年間販売棟数1万戸超えの偉業は、「夢発電システム」の存在を抜きにしては成し得なかっただろうと思います。
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電力の買い取りが始まったのは2009年11月1日、そして2012年7月1日余剰電力買取制から全量買取制に制度が変更されたのは、2011年(平成21年)3月11日の東日本大震災に起因した全原発停止に伴う電力クライシスと無関係ではなかったと思います。買取価格が高かったので、当初は「売電でローンを返せる」という宣伝文句もありました。
・国全体が震災の絶望感にある中で、ローンの要らない新築の夢を見れる
「夢発電システム」、という仕組みで、2012年(平成24年)エコプロダクツ大賞国土交通大臣賞を受賞しました。
「夢発電システム」というのは、
・太陽光の搭載費用を肩代わり(初期コストゼロ)。
・肩代わりした初期コストは発電分で返済
・初期コスト完済した後は、施主の取り分。
・たくさん搭載する程ローンの返済が楽々!
というコンセプトを打ち出した商品です。
一条工務店は、「夢発電システム」に加えて、
・安価な免震システム
・高い耐震性と高気密・高断熱な2X6構造
・30年間以上メンテナンスフリーを謳うTOTOの外壁タイル(キャンペーン価格を強調)
・わかりやすい坪単価システム
・わかり易い性能表示
など、消費者のマインドをうまくキャッチする仕掛けが揃っており、これが大ウケしたんだと思います。
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さて、最初に入った住宅展示場が一条工務店だったのですが、
2階部が丸ごと技術解説フロアになっていて、
「家は性能」のキャッチフレーズと、わかり易い実物モデルと性能の表示は、
理系の心にしっかり響きました。
解説して頂いた営業マンの方も、
「一条工務店を選ばれる方は理系の方が多いんですよ。」
と言っておられました。
一通り解説も聞いたところで、建築計画について話が始まったのですが、
しかし、その時の私は1坪が何平米であるかも知らないド素人、
「坪50.9万円から、ただし外構費は別です。」
と言われても、
「坪・・・外構・・・(何それ?)」
という状態だったのです。
そんな状態ですから、「夢発電システム」とか「補助金が取れるからもっと安くなる」とか云々言われても、そこは全く心に響かなかったのでした。
営業のチーフっぽい女性も「素人が来ちゃったかなぁ」という感じのビミョーな表情を浮かべながら説明してくださいました。
その頃は、中古住宅の見学も積極的にやっていた時期だったので、
あわよくば2000万円以下でどうにかならないか、と思っていましたから、
建築予算の少なさも相手にされなかった理由であろうかと思います。
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一条工務店の建物の仕様については、後々充分に理解が進んだ段階では幾つか弱点を感じました。
・タイル外壁はいざという時にメンテナンス性が悪そう
・断熱材(EPS)が可燃物
・高気密+熱交換型第一種換気システム+太陽光+全館床暖房
というのが豪華過ぎて、色々と機械的なメンテが気になる。
・高断熱を謳うサッシが、内面だけでなく、外面も樹脂で耐候性が気になる。
・防蟻処理材を高圧注入した木材をウリにしているが、ヒノキならそんな処理は必要ない。
つまり原料木材がすごく安い。
そして最近、「さすけさんのブログ」で見つけた記事が気になりました。
一条工務店は水切り部分と、軒と壁の隙間の養生がされていないので、小動物(コウモリ、ネズミ)に巣食われた、というトラブル事例を紹介されており、積水ハウスの仕様が非常に良いという記事を書かれていました。
積水ハウスが水切りと、軒と壁の隙間にスリットプレートを仕込んでいるのは知っていましたが、
まさか一条工務店がそれを付けていないとは知りませんでした。
知り得る限りでは、ダイワハウスは、水切りにメッシュを仕込んでいます。
(写真:ダイワハウスの水切り、ZEVO-E仕様模型)
一条工務店と同様にタイル外壁をウリにしてるパナホームは未確認です。
外観の写真だけありましたが、正確には判りません。
外壁パネルの下に水切りが付いていますが、裏までは見ていませんでいた。
近づく機会があったら見てみたいと思います。
あらためて我が家を観察してみると、
(写真:我が家の水切り)
このようにスリットプレートが付いています。
隙間の目的は、結露を防ぐ為の壁体内通気をさせる事にありますが、
このプレートがネズミの侵入を防いでくれる、大変ありがたい物だとは、
意識していませんでした。
(写真:我が家の軒と壁の隙間)
壁と軒の間に、小屋裏通気をさせるための隙間が作ってあり、隙間は水切りと同様にスリットプレートで養生しています。
ダインコンクリート外壁の意匠凸凹で生じる隙間は、スポンジが埋め込まれているのが判ります。
これならコウモリの侵入を防げそうです。
日が暮れる頃に我が家の庭に出てみると、コウモリの飛翔が確認できます。
周囲は丘陵地なので、普通に生息しているのでしょう。
最初から全て知っていた訳ではありませんが、
積水ハウスを選んだ事で助かったんだなぁ、と思います。
積水ハウスと一条工務店を比べるとき、1つ1つのアイテムに訴求力があるのは一条工務店の方ではないかと思います。しかし、積水ハウスは飛び抜けた物は出してこないが、細かい部分でトータルバランスが良い仕様になっている、と思います。
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