流行のダウンライトなんてそっちのけで照明設計をしたお話。
写真:ベースライトとスポットライトで作ったキッチン照明
最近の住宅の流行として、天井がすっきり見えるアイテム
「ダウンライト」
がありますが、住宅系の掲示板やSNSで相談している人を見かけました。
その方は「暗くないか」という不安を持っていましたが、営業マンとインテリアコーディネーターは、
・光束を計算している
・ダウンライトは見た目が良い
・完成見学会で明るさを確かめたらどうか(つまり昼間に見ろ、と。)
という旨の回答をしたそうです。(夜見なきゃ暗さは判らないよ、と言いたい。)
全く施主の不安に寄り添ってないと思いました。
住まう方にとって必要十分な明るさであるかどうか、きちんと考えてほしいものです。
標準というのは、JISで決まっている明るさの事で、具体的には以下のリンク先の数値となります。
http://www.akaricenter.com/mame/pdf/jis-shoudo.pdf
上記参考資料によると、
150~300ルクスあれば人の居る部屋はOK。
300~500ルクスあれば作業場もOK。
という事がJISで決まっている訳です。
つまり「大体300ルクス弱で設計すれば基準を満たすから文句は無いだろう」という思想に至ると考えられます。
家を建てる際の照明設計で気を付けるべき事は、
照明設計は照度を数値でオーダーしなければ、例えばパナソニックのアドバイザリーシステムに沿った提案を担当建築士が持って来るだけだ、という事です。
住まう人が、そこでどういう事をするか(読書、食事、裁縫、etc...)あらゆる可能性を考慮して設計してくれる訳ではない、という事を肝に銘じておく必要があります。
我が家も最初はキッチンにダウンライトを提案されました。
「暗いかも」という不安解消のため、パナソニックの「ルミナスプランナー」で計算させてみると、キッチン作業台の手元照度は227ルクスと算出されました。
画像:ダウンライト6連で構成したダイニングキッチンの作業台照度
さて、これは我が家にとって十分な光量でしょうか?
JIS基準は満たす値だと思われますが、感じ方に個人差がある筈です。
まずは現状キッチンの手元照度を知る必要がありました。
積水ハウスの我が家担当スーパー営業マンT君に
「照度計を借りてきて」
と頼んだところ、見事調達に成功。当時住んでいた賃貸マンションのキッチンで、手元照度を測定したところ、300ルクス無い事が分かりました。当時そもそも照度不足を感じていたので、
227ルクスは絶対暗い
と判断し、冒頭写真のような、ベースライトとスポットライトの組み合わせで約500ルクス、さらにレンジフード照明も合算すると500ルクス超が実現できる照明設計にしました。スポットライトはダクトレールにしたので、住んでみて不足を感じれば足せばいい、という安全代も残しておきました。が、結果的には追加せず満足の照度が得られました。
ダクトレール式スポットライトの利点は、
「増減できる」「照明の反対側の部屋から見て眩しくない」
弱点は、
「ホコリとのお付き合いが必要」
です。照明の反対側の部屋というのは「畳リビング」の事で、子供が寝ている時に眩しくないように、という配慮です。
万人に向いた照明設計ではありませんが、我が家の都合においてはベストの設計が出来たと自負できますし、キッチンの主役である妻にも褒めもらえるので、家造りやって良かった事、100点満点です。
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